牡蠣の産卵や採苗の時期は地域によって多少の遅速がありますが、広島では、雨がたくさん降り牡蠣の幼生の餌が海中にたくさんある梅雨の6月頃から産卵が始まり、7~9月に盛期を迎えます。
牡蠣の幼生はプランクトンを食べながら約2~3週間海中を漂い、その後海中の岩など自分の住める固着物に付着します。養殖ではこの性質を利用し、産卵の時期に合わせきれいなホタテの貝殻を約2~3週間海中に入れ牡蠣の幼生を付着させます。
付着後の牡蠣の幼生
大きさは約0.3~0.5ミリ
この黒い点が牡蠣の幼生です。
採苗した牡蠣の幼生は干潟の棚に移されます。ここでは潮が干くと牡蠣は海から出るため、潮の干満を利用して牡蠣を厳しい環境に置きます。
海水に浸かっている時間が少なくなるため、牡蠣が大きくなりすぎない他、干潮時の夏の太陽の暑さや冬の寒さなどに耐えながら環境の変化への抵抗力をつけさせて丈夫な牡蠣に育てることができます。栄養に飢えた状態にすることで、沖へ運ばれたときに海中の栄養を一気に吸収し、大きく丈夫な牡蠣へと成長するのです。
採苗から約1年後の牡蠣
干潟の厳しい環境を耐え抜いた牡蠣が生き残ります。
ここからは人の力によって牡蠣がたくさん収穫できる仕組みです。
厳しい環境に耐えた牡蠣はここから大きく成長するために長い針金に通し替えられ、沖合の養殖筏に吊るされます。
1台の養殖筏に吊るされている牡蠣の数は約40万個。
ここから収穫までの約1年、生産者は牡蠣を成長させる為に牡蠣筏を餌の多い場所へ移したり、夏の暑さや時には台風から守るため安全な場所へ移動させたりと、自然の恩恵を受けながらも自然の猛威から牡蠣を必死に守り、牡蠣を我が子のように大事に大事に育てます。
牡蠣はたくさんの餌を食べながら大きく旨味のある極上の牡蠣へと成長していき、収穫される時を待つのです…